窓の主な役割と機能
窓は注文住宅の家づくりにおいてとても重要なアイテムです。
しかし、施主がその重要性をきちんと理解して主体的に窓の検討をしているかというと、そうではないケースが多いように感じます。
注文住宅では、いろいろと決めていかなくてはならない事が多いので、窓の検討はその中に埋もれてしまい、何となく最終的に商品が選ばれていくことが多くなっています。
窓の検討がなぜ重要かと言えば、窓の検討次第(開口部の大きさ、配置、商品選択)で、家の性能、つまり住み心地といった快適性、防犯性やデザインなどが変わってくるからです。
現代の注文住宅の家づくりでは、窓は多機能化して、求められる役割も大きくなっていますが、その主な役割は以下の通りです。
採光
これは真っ先に思い浮かぶ役割でしょう。
自然光をうまく室内側に採り入れて、活用する役割を担います。
窓による採光のやり方一つで家全体のイメージも変わりますし、快適性にも影響を及ぼします。
通風・換気
これも基本的な役割ですが、現代の家では24時間換気が義務付けられているものの、実際には窓を開けて外の空気を採り入れて換気する人は多いと思います。
日本人は伝統的に風通しの良さを家に求めますが、それは窓の需要な役割です。
眺望
窓は外と内の視界をつなぎ、閉鎖的な空間に開放感をもたらします。
室内側から外側に向けての視界を決定づけるのは窓ですから、その大きさや位置、形などを決める際には眺望もポイントになってきます。
デザイン
窓は家のデザイン(外観・インテリア)を形作る重要な要素です。
現在の窓は多機能化が進んでいるだけでなく、色や形、質感もバリエーションが多く、デザインの幅が広がっていますので、家のデザインを検討する上でも窓の選択は重要になってきています。
防犯
犯罪者の家への侵入経路は、玄関ドア以外は窓です。
したがって窓の防犯性を高めることは非常に大事なことです。
防犯性能を高めたガラスやサッシが開発されていますが、その役割は今後ますます高まるものと思われます。
窓と断熱・気密の関係
このように窓には上記のような役割がありますが、それに伴って、断熱性、気密性、遮音性、防火性、デザイン性、防犯性などの機能が求められています。
この中では特に断熱性、気密性が家の快適性にとって重要になりますので、その点に絞って取り上げてみます。
まず認識しておかなければならないのは、断熱性・気密性という観点で捉えると窓の部分というのは、基本的には弱点部分になるということです。
窓には壁部分のような断熱材はありませんから、どうしても壁部分よりも断熱性が落ち、熱の通り道になりやすくなります。
特にサッシで多く使用されている素材のアルミは熱伝導率が非常に高いので、熱が通りやすく結露も引き起こしやすくなります。
そしてガラスは通常のフロート板ガラスでは、断熱性に劣るだけでなく、太陽光を透過しますから、赤外線の影響により、室内側に熱をもたらします。
(こうした影響を軽減するLow-E複層ガラスがあります。)
また、窓はフックスタイプの窓以外は、開閉機能を持ちますので、基本的に構造上隙間をある程度持たなくてはなりません。気密性は窓の開閉タイプにより異なりますが、一般的によく使用される横引き窓は気密性に難有りです。
このように窓は断熱性や気密性において弱点部分になるので、壁部分の隙間を少なくし、高性能の断熱材を使用して断熱性能を高めたとしても、窓部分をおろそかにすると、家全体で見た時に気密・断熱性能にマイナスの影響を与えてしまいます。
したがって、この弱点がなるべく少なくなるように、注文住宅の家づくりのプランにおいて窓を検討していく必要があるのです。
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